「依怙贔屓」とは、「自分の気に入ったものだけの肩をもつこと」という意味があります。
しかし、依怙贔屓の意味がわかったところで、その正しい使い方やシチュエーションを理解しておかないと、間違った解釈をしたまま恥ずかしい思いをするかもしれません。
そうならないように、この記事で依怙贔屓の意味に加えて、正しい使い方を例文も交えてわかりやすく解説しておりますので、最後まで読んでこれから活用できるようにしてくださいね!
課長は、A子さんばかり褒めるんだよ!
ひどい、依怙贔屓ね!
「依怙贔屓」の意味とは?わかりやすく解説
「依怙贔屓」とは、えこひいきと読み、自分の気に入ったものだけの肩をもつこと。という意味があります。
依怙贔屓の意味を辞書で調べると、このように解説されております。
【依怙贔屓の意味】
goo辞書より引用
- 特に一方に心をかたむけ公平でないこと。また、好きなほうにだけ心を寄せ、肩入れすること。
- 「依怙」は本来は頼る意であるが、わが国では不公平の意にもなる。
「贔屓」はもと「ひき」と読み、盛んに力を用いて努力すること。転じて、特に目をかけて引き立てること。
「贔」を「ひい」と読むのは「ひ」の長音化したもの。
「依怙贔屓」の意味
依怙贔屓(えこひいき)とは、特定の人やグループに対して不公平なほどに好意的な扱いをすることを意味します。本来であれば、公平であるべき状況で、特定の人を特別に優遇する行為を指します。特に、仕事や学校などの場面で、不当な評価や待遇を受ける原因となることが多い言葉です。
「依怙贔屓」の意味の概要
「依怙贔屓」は、もともと「依怙」という言葉と「贔屓」という言葉が組み合わさってできています。「依怙」は個人的な偏りを意味し、「贔屓」は特定の人をひいきすることを指します。これらが合わさることで、意図的に特定の人物に対して公正を欠いた優遇をする行為や態度を指す言葉として使われています。
「依怙贔屓」ってどんなことを意味するの?もう少し詳しく教えて!
依怙贔屓とは、ある特定の人やグループに対して、他の誰よりも特別に良くしたり、優遇したりすることです。つまり、公平ではなく、自分にとって都合の良い人やものに対してだけ、特別扱いをすることを意味します。
「依怙贔屓」の語源や由来
依怙贔屓の語源や由来は以下のとおりです。
【依怙贔屓の語源や由来】
Domaniより引用
- 「依怙贔屓」という言葉の語源は仏教語の「依怙」です。「依怙」には本来、「頼りにして寄りかかる」という意味があり、仏教語として使われる場合には「仏が頼ってくる人たちに目をかけて助ける」というニュアンスを持ちます。
- 法華経の中にも「依怙心相移故云々」という語句が出てきます。この目をかけて助けるという意味の「依怙」に「気に入った人を特に引き立てること」という意味の「贔屓」という言葉が合わさって「依怙贔屓」となりました。
- この四字熟語がいつから使われているのは定かではありません。しかし、江戸初期の1662年に書かれた織田信長の一代記「信長記」に「御心緒万機に暁、第一無欲にして、御心に依怙贔屓おはしまさず」という記述があるので、江戸時代にはすでに使われていたと考えられます。
「依怙贔屓」の語源や由来
依怙贔屓(えこひいき)という言葉の語源や由来を理解するためには、まず「依怙」と「贔屓」という2つの言葉がどこから来たのかを知ることが大切です。
「依怙」の意味と由来
依怙(えこ)は、もともと仏教の言葉で「偏り」を意味します。もとの意味は、自分の考えや感情にこだわって、公平さを欠くことを指していました。つまり、自分の好き嫌いなどによって判断を歪めてしまうということです。このような偏りを示す言葉が、やがて特定の人を特別に扱う行為を指すようになりました。
「贔屓」の意味と由来
贔屓(ひいき)という言葉は、中国の神話に登場する「贔屓」という強い動物に由来しています。この動物は他のものを支える力が強いことから、転じて「特別に支える」「ひいきにする」という意味が生まれました。この言葉が日本に伝わり、誰かを特別に応援したり優遇したりする意味として使われるようになりました。
依怙贔屓の成立
このように、「依怙」が偏りや好き嫌いを示す言葉で、「贔屓」が特別に応援することを意味するため、2つが組み合わさって「依怙贔屓」となり、特定の人を不公平に優遇するという意味を持つようになりました。
「依怙贔屓」の使い方を例文でわかりやすく解説
それでは、「依怙贔屓」の正しい使い方を具体的にイメージできるようわかりやすい例文をご紹介します。
依怙贔屓ってどういう場面で使ったりするの?
「依怙贔屓」は、例えば職場で上司が特定の部下だけを目立って褒めたり、学校で先生が一部の生徒を特に可愛がったりするような状況で使われます。また、スポーツチームや友人グループの中で、誰かが一方的に優遇されることが不公平に感じられる場合にも、この言葉が使われることが多いです。
「依怙贔屓」は、特定の人やグループを特別扱いしている場面や、不公平な優遇が見られるときに使います。具体的には以下のような場面で使われます。
- 職場で上司が一部の社員だけを不公平に優遇する時。
- 学校で先生が特定の生徒を特に目立たせている時。
- スポーツチームでコーチが特定の選手ばかり起用する時。
- 友人グループ内で、誰か一人だけを頻繁に誘う時。
- 家族の中で、親が特定の子どもばかりを甘やかす時。
「依怙贔屓」を使う際には、いくつかの注意点があります。
- 人を非難するために使う言葉なので、相手との関係性に配慮する必要があります。
- 公平さを大切にする場面で使うため、場面に応じた慎重な言葉選びが重要です。
- 明らかな不公平があると感じた時だけ使い、根拠があいまいな場合は使わない方が良いです。
依怙贔屓の例文①
この例文では、職場で上司が特定の社員をひいきしている状況を表しています。依怙贔屓は、このような仕事の場で特に問題視されやすいです。
部長は田中さんばかりを褒めて、他の人の頑張りは見ていない。これは明らかに依怙贔屓だ。
そうよ。みんな不満に思っているわ!
この例文では、上司が一人の社員ばかりに好意的な対応をしていることを批判しています。他の人も同じように努力しているのに、田中さんだけが特別扱いされている状況を示しています。
依怙贔屓の例文②
この例文では、学校の先生が特定の生徒だけに好意的な態度を取る状況を説明しています。
先生は山田君の意見ばかりを取り上げて、他の生徒の意見を聞かない。これでは依怙贔屓だと思う。
生徒の意見は平等に聞くべきよ!
この例文では、特定の生徒の意見だけが重視され、他の生徒が平等に扱われていない場面を描いています。このような場面では、不公平さが感じられるため「依怙贔屓」という言葉が適切です。
依怙贔屓の例文③
この例文では、スポーツチームのコーチが特定の選手を優遇している状況を説明しています。
コーチは佐藤君ばかりを試合に出していて、他の選手は全然チャンスがもらえない。依怙贔屓がひどい。
みんなにチャンスを与えて欲しいわね。
この例文では、コーチが特定の選手だけを試合に出していて、他の選手が不公平に扱われていることを強調しています。公平な競争が欠けているため、依怙贔屓が行われていると言えます。
「依怙贔屓」の言い換え表現を例文を使ってわかりやすく解説
「依怙贔屓」という言葉は、特定の人を不公平に優遇することを表す言葉ですが、日常会話でもっと簡単に使える言い換え表現もあります。ここでは、2つの言い換え表現を紹介し、それぞれの使い方と意味について解説します。
【依怙贔屓の言い換え表現】
・ひいきする:自分の気に入った者を特別扱いして、力を添えたり優遇したりすること。
・特別扱いする:他とは違う扱いをすること。
「ひいきする」の例文
「ひいきする」は、「依怙贔屓」のもっと日常的な言い方です。誰かを特に好んで優遇したり、特別な扱いをしたりすることを意味します。感覚的には、依怙贔屓よりも少し軽いニュアンスで使われることが多いです。
先生はいつも鈴木さんをひいきして、彼の発表ばかり褒める。
鈴木さんは、クラスで一番成績がいいから好かれているのかもね。
この例文では、先生が特定の生徒、鈴木さんだけを特別に扱い、他の生徒よりも好意的に評価している場面を表しています。「ひいきする」は、相手を優遇しているものの、それが必ずしも悪意のある偏りというわけではないニュアンスがあります。「依怙贔屓」ほど厳しい批判のニュアンスは少なく、軽い場面で使いやすい表現です。
「特別扱いする」の例文
「特別扱いする」は、ある人を他の人と比べて優遇することを表す言葉で、特定の人を他よりも好意的に見て不公平な扱いをする時に使われます。「依怙贔屓」よりもニュートラルな表現で、悪意を含まない状況でも使える便利な言葉です。
店長は新人の山下さんを特別扱いして、他のスタッフにはない特典を与えている。
山下さん、若くてかわいい女の子だものね。
この例文では、店長が新人の山下さんだけに特別な待遇をしている様子を表しています。「特別扱いする」は、依怙贔屓と似た状況を表していますが、より柔らかい表現で、必ずしも批判的な意味を持たない場合に使われます。使う場面によっては、ポジティブな意味にもなり得ます。
「依怙贔屓」の類義語
「依怙贔屓」の類義語を辞書で調べると以下の通りです。
【依怙贔屓の類義語】
weblio辞書より引用
- 判官贔屓 (ほうがんびいき/はんがんびいき):弱い立場の者に対して同情して味方をし、援助すること。
- 内輪贔屓(うちわびいき):身内やお気に入りを特別に厚遇すること。
「判官贔屓」の例文
判官贔屓(ほうがんびいき/はんがんびいき)とは、弱い立場や不遇な状況にある人を、理由なく応援したり同情したりすることを意味します。この言葉は、歴史上の人物である「九郎判官(ほうがん)義経」が人気を集めたことに由来しています。義経は強大な力を持つ兄、源頼朝に敗れて不遇の運命を辿ったため、一般の人々から同情され、支持を集めたというエピソードから生まれた言葉です。
いつも成績が良くない田中君が頑張っている姿を見て、つい判官贔屓してしまった。
頑張ってる姿を見ると応援したくなっちゃうね。
この例文では、弱い立場や成績が悪い人を自然と応援したくなる心情を表しています。「判官贔屓」は、依怙贔屓とは違い、弱い者への同情や応援を含んでいるため、どちらかというとポジティブな感情が込められている場合に使われます。
「内輪贔屓」の例文
内輪贔屓(うちわびいき)とは、家族や親しい友人など、自分の身近な人を特に好んで、他の人よりも優遇することを指します。身内に対して不公平なほど特別な扱いをする様子を表す言葉です。「依怙贔屓」が特定の個人やグループに対しての不公平な扱いを広く指すのに対して、「内輪贔屓」は主に家族や近しい人たちに対する偏った優遇を指す点で異なります。
彼は自分の子どもだけに良い成績をつけるなんて、内輪贔屓がひどすぎる。
評価については私情を挟むべきではないわね。
この例文では、身内である子どもに対して不公平なほど優遇している様子を表しています。「内輪贔屓」は、家族や友人などに対しての特別な扱いを批判する場面でよく使われる言葉です。この表現は、「依怙贔屓」よりも親しい関係の中で発生する不公平さにフォーカスしています。
「判官贔屓」は、弱い者を応援するというポジティブなニュアンスがあり、逆に「内輪贔屓」は、身内や近しい人を不公平に優遇するという批判的なニュアンスがあります。「依怙贔屓」と比較すると、「判官贔屓」は正当性がなくても同情する感情が絡み、「内輪贔屓」は身内に対する不公平な優遇に限定されている点が特徴です。
「依怙贔屓」の対義語
「依怙贔屓」とは特定の人を不公平に優遇することを意味しますが、それとは逆に、公平で公正な態度や行動を示す言葉があります。ここでは、「一視同仁」「公平無私」「公明正大」という3つの対義語を紹介し、それぞれの意味と使い方を解説します。
【依怙贔屓の対義語】
スッキリより引用
- 一視同仁(いっしどうじん):全ての人に平等に接すること。
- 公平無私(こうへいむし):自分の利益に流されず、公平な態度をとること。
- 公明正大(こうめいせいだい):公平であり、正しいこと。
「一視同仁」の例文
一視同仁(いっしどうじん)とは、すべての人を平等に扱い、差別せずに同じように接することを意味します。この言葉は、「一視」は「同じように見る」、「同仁」は「同じ愛情や善意を持つ」という意味で、誰に対しても公平な態度を取ることを表します。
校長先生は、すべての生徒に対して一視同仁の態度を取っている。
校長先生は、みんなを同じように大切ししてくれているような気がするわね。
この例文では、校長先生がどの生徒にも同じように接していることを表しています。「一視同仁」は、特定の人に対して偏らずに公平な対応を取る状況で使われます。
「公平無私」の例文
公平無私(こうへいむし)とは、自分の私的な感情や利益を考えず、誰に対しても公平に対応することを意味します。「無私」とは、自分の利益や感情にとらわれないことを指し、個人の感情を排除して、公正な判断を下すという考え方を表します。
裁判官は、常に公平無私な判断を心がけている。
裁判官はどんな時も公平であって欲しいわね。
この例文では、裁判官が自分の感情や意見に影響されず、公平な判断をしていることを表しています。「公平無私」は、特に重要な判断をする立場で、私的な利益や感情を差し挟まない姿勢を示す際に使われます。
「公明正大」の例文
公明正大(こうめいせいだい)とは、公正であり、隠し事なく堂々としていることを意味します。「公明」は、物事をはっきりと公正に行うこと、「正大」は、堂々として正しいことを表しており、特にリーダーシップを発揮する際に求められる資質を表現します。
市長は、常に公明正大な政治を心がけて、市民の信頼を得ている。
市長はすべての市民に公平でないとね。
この例文では、市長が透明で公正な政治を行い、住民から信頼を得ていることを説明しています。「公明正大」は、特に責任ある立場にいる人が、隠し事なく公正に行動する際に使われます。
「依怙贔屓」の英語表現
「依怙贔屓」の英語表現を辞書で調べると以下の通りです。
【依怙贔屓の英語】
DMM英会話より引用
- play favorite:特定の人を特別扱いする、えこひいきする。
- favor:特定の人をえこひいきする、好む。
「play favorite」の例文
「play favorites」とは、特定の人やグループを他よりも優遇する、つまり「依怙贔屓する」という意味を持つフレーズです。これは、何かの場面で公平であるべきところで、誰かを特別扱いすることを指します。
「依怙贔屓」を英語で表現した例文を教えて!
"The teacher always plays favorites with her top students, giving them more attention than others."のように表現することができます。
日本語訳:先生はいつも優秀な生徒をひいきして、他の生徒よりも多くの注意を払っている。
この例文では、先生が特定の優秀な生徒を依怙贔屓している場面を表しています。誰に対しても公平に接するべき立場で、特定の生徒にだけ特別な注意を向けていることを批判的に表現しています。「play favorites」は、学校や職場などでの不公平な優遇を示すのに適した表現です。
「favor」の例文
「favor」は、誰かを特別に優遇する、または好意的に扱うことを意味します。この表現も、依怙贔屓を指すときに使われますが、状況によりやや軽いニュアンスで使われることがあります。
「依怙贔屓」を英語で表現した例文をもう一つ教えて!
"The manager seems to favor John, always giving him the easiest tasks."のように表現することができます。
日本語訳:マネージャーはいつもジョンをひいきして、彼に一番簡単な仕事ばかりを与えている。
この例文では、マネージャーが特定の社員、ジョンに対して不公平に簡単な仕事を割り振っている様子を示しています。「favor」は、特定の個人に有利な状況を与えることを指しており、依怙贔屓と同じように使われますが、ニュアンスとしては「play favorites」よりも少し軽く感じられる場合があります。
「play favorites」と「favor」はどちらも「依怙贔屓」を表す英語表現ですが、「play favorites」はより強い不公平感を伝えるのに対し、「favor」は少し軽い依怙贔屓を表す際に使われます。どちらの表現も、日常会話や職場、学校などの場面で頻繁に使われます。
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