「背水之陣」とは、「一歩も後にひけない状態に身を置いて、決死の覚悟で事に当たること」という意味があります。
しかし、背水之陣の意味がわかったところで、その正しい使い方やシチュエーションを理解しておかないと、間違った解釈をしたまま恥ずかしい思いをするかもしれません。
そうならないように、この記事で背水之陣の意味に加えて、正しい使い方を例文も交えてわかりやすく解説しておりますので、最後まで読んでこれから活用できるようにしてくださいね!
試験まであと一週間、ぜんぜん時間が足りないよ!
背水之陣で臨むしかないわね。
「背水之陣」の意味とは?わかりやすく解説
「背水之陣」とは、はいすいのじんと読み、一歩も後にひけない状態に身を置いて、決死の覚悟で事に当たること。という意味があります。
背水之陣の意味を辞書で調べると、このように解説されております。
【背水之陣の意味】
goo辞書より引用
- 切羽詰まっていて、もう一歩も後にはひけないぎりぎりの状況。また、そうした状況に身を置いて、必死に物事に取り組むこと。
川を背にしたところに陣を敷き、退却できないようにして必死に戦う意から。
「背水」は川を背にすること。
「背水之陣」の意味
「背水之陣」とは、後戻りできない状況に自らを追い込んで戦うことを意味します。文字通りには「水を背にして陣を敷く」という意味で、逃げ道を断ち切り、勝つためには全力を尽くさなければならない状況を指します。この言葉は、プレッシャーを力に変え、どうしても成功させたい場面で使われることが多いです。
「背水之陣」の意味の概要
「背水之陣」は、選択肢がなく、成功以外に道がない状況を指す言葉です。例えば、ビジネスのプロジェクトや大事な試験など、失敗が許されない場面で使われます。この言葉は、強い覚悟を持って取り組む姿勢を示すために使われ、どんなに難しい状況でも勝利を目指す姿勢を表します。
「背水之陣」ってどんなことを意味するの?もう少し詳しく教えて!
背水之陣とは、もう後には引けない、絶対に勝ちたいという強い決意を持って、全力を尽くすことを意味します。
「背水之陣」の語源や由来
背水之陣の語源や由来は以下のとおりです。
【背水之陣の語源や由来】
goo辞書より引用
- 「史記」淮陰侯伝の、漢の名将韓信が趙 (ちょう) の軍と戦ったときに、わざと川を背にして陣をとり、味方に退却できないという決死の覚悟をさせ、敵を破ったという故事から。
一歩もひけないような絶体絶命の状況の中で、全力を尽くすことのたとえ。
「背水之陣」の語源や由来
「背水之陣」という言葉の由来は、中国の古い歴史にあります。この言葉は、紀元前200年頃に起きた戦いに由来しています。その時代、中国には漢(かん)という国があり、漢の将軍・韓信(かんしん)がこの戦術を使ったことで有名になりました。
韓信は、敵軍との戦いで自軍が不利な状況に追い込まれていました。しかし、彼はあえて川を背にして兵士たちを配置しました。つまり、逃げ場がない状況を自ら作り出し、「もう後がない」というプレッシャーの中で戦わせたのです。逃げられないという切羽詰まった状況に置かれた兵士たちは、必死になって戦い、見事に勝利を収めました。この戦略が「背水之陣」として知られるようになったのです。
このエピソードから、「背水之陣」という言葉は、後戻りできない状況で全力を尽くして挑むことを意味するようになりました。現代では、重要な場面や絶対に成功させたいときに使われる表現として、広く知られています。
「背水之陣」の使い方を例文でわかりやすく解説
それでは、「背水之陣」の正しい使い方を具体的にイメージできるようわかりやすい例文をご紹介します。
背水之陣ってどういう場面で使ったりするの?
「背水之陣」は、仕事や勉強など、挑戦する場面でよく使われます。特に、後に引けない状況に追い込まれたときや、全力を尽くして成功を目指す場面で使われます。
「背水之陣」という言葉は、以下のような場面でよく使われます。
- 勝負事や試験など、絶対に勝ちたい場面: 最終試験、スポーツの決勝戦、プレゼンテーションなど、結果が非常に重要な場面で、「背水の陣で臨む」などと言います。
- 困難な状況を乗り越えたい時: 難関のプロジェクト、病気との闘いなど、困難な状況に直面した時、「背水の陣で立ち向かう」などと言います。
- 目標達成のために全力を尽くしたい時: 新しい事業の立ち上げ、目標体重達成など、高い目標を設定し、その達成に向けて努力する際に、「背水の陣で取り組む」などと言います。
- 現状を変えたい時: 長期的な不況、人間関係の悪化など、現状に不満を感じ、それを打破したい時に、「背水の陣を敷いて」などと言います。
- 最後のチャンスと捉えたい時: 再就職活動、最後のチャンスと捉えた恋愛など、最後のチャンスと捉えた状況で、「背水の陣で挑む」などと言います。
「背水之陣」を使う際には、次の点に注意しましょう。
- 状況が本当に「背水之陣」にふさわしいか: すべての状況が「背水之陣」に当てはまるわけではありません。状況を客観的に判断し、適切な言葉を選びましょう。
- 周囲への影響: 「背水之陣」という言葉は、強い決意を表す言葉ですが、周囲の人をプレッシャーに感じさせてしまう可能性もあります。使う相手や状況に合わせて、言葉を選びましょう。
- 謙虚な姿勢: 「背水之陣」という言葉は、自信と決意を表す言葉ですが、過度に自信過剰に見えないように、謙虚な姿勢を忘れずに使いましょう。
背水之陣の例文①
この例文では、試験に向けて最後の努力をしている状況を描いています。「背水之陣」は、全力で勉強する決意を示す場面で使われています。
試験まであと一週間しかない。背水之陣を敷いて、毎日10時間勉強するしかない!!
あと一週間か。厳しい状況だけど、全力を尽くして頑張って!!
この文では、時間が限られている状況で、全力を尽くさなければならない様子を「背水之陣」で表現しています。もう後がないという覚悟が強調されています。
背水之陣の例文②
この例文では、会社のプロジェクトが大詰めを迎えており、成功させるために全力で取り組む場面を描いています。「背水之陣」は、このプロジェクトの重要性と覚悟を示す言葉として使われています。
今回のプロジェクトも、いよいよ大詰めだね。
このプロジェクトが成功しなければ、会社の存続にも影響するわ。まさに背水之陣の覚悟で挑むしかない!!
この文では、会社の重要な局面での覚悟を示しており、リスクを背負って全力で取り組む様子を表現しています。
背水之陣の例文③
この例文では、スポーツの試合に臨む際、負けられない状況で全力を尽くす場面を描いています。
この試合で負けたら、もう次はない。背水之陣のつもりで全力を尽くす!
ギリギリの状態だけど、全力でがんばって!
この文では、スポーツの勝負において、全力で取り組む決意を「背水之陣」で表現しています。勝敗が決まる重要な試合での覚悟が伝わる例です。
「背水之陣」の言い換え表現を例文を使ってわかりやすく解説
「背水之陣」は強い決意を示す言葉ですが、日常生活で使いやすい表現に言い換えることもできます。ここでは、身近な言葉を使って、「背水之陣」の意味を伝えます。
【背水之陣の言い換え表現】
・もう後がない
・崖っぷち
「もう後がない」の例文
「もう後がない」は、後戻りできない状況に追い込まれ、全力でやるしかないという意味を持ちます。「背水之陣」と同じように、成功させなければならない場面で使われますが、より日常的でシンプルな表現です。
この試験に落ちたら、昇進はできない。もう後がないから、全力で頑張るしかない!!
とにかく、全力で頑張るしかないわね!
この例文では、昇進を目指して試験に臨む際の状況を描いています。「背水之陣」を使う場面と同様に、最後のチャンスで全力を尽くすという意味が込められています。「もう後がない」という言葉は、日常生活でもよく使われ、緊迫感を伝えやすい表現です。
「崖っぷち」の例文
「崖っぷち」は、まさに崖のふちに立っているような、失敗すればすべてが終わってしまう危険な状況を指します。「背水之陣」と同じように、成功を目指すために全力を尽くさなければならない場面で使われますが、さらに緊張感や危機感を強調するニュアンスがあります。
今回のプロジェクト、いよいよ最終段階だね。
このプロジェクトが失敗すれば、会社が潰れるかもしれない。今は完全に崖っぷちよ!!
この例文では、会社がプロジェクトの成功にかかっているという緊迫した状況を描いています。「背水之陣」と同じように、全力で取り組む必要があることを示していますが、「崖っぷち」という表現は、より危機的で切羽詰まった状況を強調しています。これは、日常の会話でも強い危機感を伝えるときに使える言葉です。
「背水之陣」の類義語
「背水之陣」の類義語を辞書で調べると以下の通りです。
【背水之陣の類義語】
goo辞書より引用
- 破釜沈船(はふちんせん):命を捨てる覚悟で出陣すること。
「破釜沈船」の例文
破釜沈船(はふちんせんは、「釜(かま)を壊し、船を沈める」という意味で、退路を断って決死の覚悟で戦うことを表します。もともとは、中国の古い戦争の戦術から来た言葉で、兵士たちが後戻りできない状況に追い込まれ、全力を尽くす様子を指しています。「背水之陣」と似ており、どちらも成功以外に道がない場面で使われます。
Yさんは、会社を辞めて、新しい事業に挑戦するんだね。
彼は、新しい事業に挑戦するために、全財産をつぎ込んだそうよ。まさに破釜沈船の覚悟ね。
この例文では、新しいビジネスに挑戦する際、すべてをかけて挑む決意を「破釜沈船」で表現しています。退路を断ち、後戻りできない状況を作り出すことで、全力で目標を達成しようとする姿勢が強調されています。「背水之陣」と同様に、覚悟や決意が求められる場面で使われますが、「破釜沈船」はより劇的で大胆な行動を示す言葉です。
「背水之陣」の対義語
「背水之陣」は、後がない状況で必死に戦うことを意味する言葉ですが、これに対して明確な対義語と言える言葉は、ありません。しかし、「背水之陣」とは正反対の意味合いを持つ言葉として、以下のような言葉が挙げられます。
【背水之陣と反対の意味を持つことば】
・余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく):ゆったりとして落ち着きはらったさま。
・泰然自若(たいぜんじじゃく):落ち着いていてどんなことにも動じないさま。
「余裕綽綽」の例文
余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく)は、物事に余裕があり、慌てふためくことなく、ゆったりと構えていることを意味します。「背水之陣」が、極限状態を表す言葉であるのに対し、「余裕綽綽」は、その反対に、十分な余裕がある状態を表します。
試験前日の夜、すべての勉強を終えている状態です。
もうやることは全部やったし、あとは余裕綽綽で試験に臨めるよ。
試験の準備は完璧のようね。
試験に合格できるだけの準備ができたため、安心して試験に臨むことができます。余裕を持って対応している姿勢が「余裕綽綽」として表現されています。「背水之陣」のように切羽詰まった状況ではなく、落ち着いて物事に取り組む様子を示しています。
「泰然自若」の例文
泰然自若(たいぜんじじゃく)とは、どんな状況でも慌てず、落ち着いて対応できる心の余裕や態度を意味します。「背水之陣」が追い込まれた状況での覚悟を表すのに対し、「泰然自若」は冷静で安定した状態を示します。
Kさんは、プロジェクトの突然のトラブルに泰然自若として、冷静に対処していたね。
ホント、すごい!彼女の冷静な行動のおかげでトラブルに対応できたわ。
この例文では、予期しない問題が起こっても、慌てずに落ち着いて対処する人の様子を「泰然自若」で表現しています。「背水之陣」のように追い詰められた状況ではなく、困難な状況にあっても動じない、心の安定感が強調されています。
「背水之陣」の英語表現
「背水之陣」は、日本語ならではの表現で、直訳できる英語の言葉はありません。しかし、同じような意味合いを伝える英語の表現はいくつかあります。今回は、その中でも代表的な2つの表現を紹介します。
【背水之陣の英語】
DMM英会話より引用
- have one's back against the wall:「背中が壁に押しつけられている」という意味で、逃げ場がない、追い詰められている状況を表します。
- burn one's bridges:「橋を燃やす」という意味で、後戻りできない状況を作る、という意味です。
「have one's back against the wall」の例文
「have one's back against the wall」という表現は、逃げ道がなく、どうにかして問題を解決しなければならない状況を指します。これは「背水之陣」と同様に、後がない状態で全力を尽くさなければならない場面で使われます。
「背水之陣」を英語で表現した例文を教えて!
"I have my back against the wall with this project. If I don’t finish it on time, I might lose my job."のように表現することができます。
日本語訳:このプロジェクトで私は追い詰められている。期限内に終わらせなければ、仕事を失うかもしれない。
この例文では、仕事がうまくいかなければ職を失うかもしれないという状況で「have one's back against the wall」が使われています。「背水之陣」と同じように、後がなく、成功を目指して全力を尽くす場面を表現しています。
「burn one's bridges」の例文
「burn one's bridges」は、後戻りできないように、自ら選択肢を消して前に進むという意味を持つ英語表現です。これは「背水之陣」と同じく、全力で挑まなければならない状況を表しますが、特に意図的に退路を断つ行為を強調しています。
「背水之陣」を英語で表現した例文をもう一つ教えて!
"After quitting my job, I burned my bridges and started my own business. There’s no turning back now."のように表現することができます。
日本語訳:仕事を辞めて、退路を断ち切り、自分のビジネスを始めた。もう後戻りはできない。
この例文では、退職して自分のビジネスを始める決断をした人が、「burn one's bridges」で退路を断って前進する状況を表現しています。「背水之陣」と同じように、全力で挑む覚悟が必要な場面で使われていますが、この表現は意図的に後戻りできない状況を作り出すことが強調されています。
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