「忸怩たる思い」とは、「自ら恥じ入る気持ちに駆られること」という意味があります。
しかし、忸怩たる思いの意味がわかったところで、その正しい使い方やシチュエーションを理解しておかないと、間違った解釈をしたまま恥ずかしい思いをするかもしれません。
そうならないように、この記事で忸怩たる思いの意味に加えて、正しい使い方を例文も交えてわかりやすく解説しておりますので、最後まで読んでこれから活用できるようにしてくださいね!
学生時代の自分の行動を思うと忸怩たる思いに駆られるよ。
若い頃、いろいろやらかしているのね。
「忸怩たる思い」の意味とは?わかりやすく解説
「忸怩たる思い」とは、じくじたるおもいと読み、自ら恥じ入る気持ちに駆られること。という意味があります。
忸怩たる思いの意味を辞書で調べると、このように解説されております。
【忸怩たる思いの意味】
weblio辞書より引用
- 自ら恥じ入る気持ちに駆られること。またはそのような感情。
「忸怩」(じくじ)は自分の言動を恥じること。
「忸怩たる思い」の意味
「忸怩たる思い」とは、自分の行動や言動に対して強く恥じる気持ちを表す言葉です。自分が正しくないことをしてしまったり、人に迷惑をかけたりしたとき、その行動を後悔し、心から申し訳なく思う様子を指します。「忸怩(じくじ)」という言葉自体が、深い恥や悔いの感情を意味しており、それを含んだ表現が「忸怩たる思い」です。
「忸怩たる思い」の意味の概要
この表現は、特に自身の行動が誤りであったり、倫理的に問題があったときに感じる内面的な苦悩や後悔を表現するために使われます。現代の日常会話ではあまり使われない難しい言葉ですが、文章やスピーチなどで深い反省を示す際に用いられます。
「忸怩たる思い」の間違った使い方に注意!
「忸怩たる思い」は、単なる悔しさや怒りを表すものではありません。例えば、「負けて悔しい」というシチュエーションで使うのは不適切です。この言葉は、あくまで自分自身の過ちや行動に対する反省や恥じる気持ちに限定されます。
「忸怩たる思い」ってどんなことを意味するの?もう少し詳しく教えて!
忸怩たる思いとは、深く恥じ入るような気持ちのことです。何か悪いことをしてしまい、心の底から申し訳なく思ったり、自分の言動を後悔したりする時に使う言葉です。
「忸怩たる思い」の間違った使い方に注意!
最近では、「忸怩たる思い」を「残念だ」「もどかしい」といった意味で使う人が増えています。しかし、これは本来の意味とは異なります。この言葉を使う際は、必ず「深く恥じている」というニュアンスが含まれることを意識しましょう。
「忸怩たる思い」の語源や由来
忸怩たる思いの語源や由来は以下のとおりです。
【忸怩たる思いの語源や由来】
マイナビニュースより引用
- 「忸怩」のそれぞれの漢字について、「忸」は恥ずかしく思う、「怩」は恥じ入る、恥じらうことを表します。
同じような意味の漢字を二つ重ねることで、意味を強調しているのです。
「忸怩たる思い」の語源や由来
「忸怩たる思い」の語源は、漢字の意味に由来しています。まず、「忸」という漢字は「恥ずかしく思う」という意味を持ち、一方「怩」は「恥じ入る」や「恥じらう」を意味します。この2つの漢字を組み合わせることで、強く恥じる気持ちを強調する表現となっています。
このように、同じような意味の漢字を重ねることで、単なる「恥ずかしい」ではなく、自分の行動に対して深く反省し、心から恥じる強い感情を表す言葉になっています。この表現は中国の古典文学から日本に伝わり、特に倫理的な過ちや道徳的な問題に対して、自らを強く責める際に使われるようになりました。
つまり、「忸怩たる思い」は、ただの恥ずかしさ以上に、自分の行為に対する強い反省や後悔の気持ちを表す言葉として、昔から大切にされてきたのです。
「忸怩たる思い」の使い方を例文でわかりやすく解説
それでは、「忸怩たる思い」の正しい使い方を具体的にイメージできるようわかりやすい例文をご紹介します。
忸怩たる思いってどういう場面で使ったりするの?
「忸怩たる思い」は、自分のミスや過ち、倫理的な問題を犯してしまったときに強く感じる感情を表現する言葉です。例えば、仕事で重大なミスをしてしまったときや、友人や家族に迷惑をかけてしまったとき、深い反省や後悔を伝える場面で使われることが多いです。
「忸怩たる思い」は、以下のような場面で使うことが多いです。
- 仕事で大きなミスをしてしまった時:他人に迷惑をかけ、自分の責任を痛感した時。
- 友人や家族に不誠実な行動をしてしまった時:信頼を裏切ったと感じ、深く後悔する場面。
- 道徳的に問題のある行動を取ってしまった時:後からその行動が正しくなかったと気づいた場合。
- 約束を守れず他人に迷惑をかけた時:自分の不誠実さを反省する際に。
- 公の場で失言や失礼な態度を取った時:周囲に対して恥ずかしい思いを抱き、深く反省する場合。
「忸怩たる思い」を使う際には、以下の点に注意が必要です。
- 感情の深さを表現する言葉であることを意識する: 単に「恥ずかしい」というよりも、もっと心の奥底から感じられる深い恥じらいを表す言葉です。
- 状況に合った言葉を選ぶ: すべての「恥ずかしい」という感情を「忸怩たる思い」で表現するのではなく、状況に合わせて適切な言葉を選びましょう。
- 誤った使い方を避ける: 最近では、「忸怩たる思い」を「残念だ」「もどかしい」といった意味で使う人が増えています。しかし、これは本来の意味とは異なります。この言葉を使う際は、必ず「深く恥じている」というニュアンスが含まれることを意識しましょう。
忸怩たる思いの例文①
この例文では、仕事で重大なミスをしてしまった後、自分の行動を反省し、深い恥じらいを感じている状況を表現しています。
取引先との会議で重要なデータを間違えて提出してしまい、クライアントに多大な迷惑をかけてしまった。今、忸怩たる思いで一杯だ。
今回のことを教訓に、今後はミスしないように気をつけてね。
ここでは、仕事での失敗が原因で強い後悔の気持ちが湧き上がり、「忸怩たる思い」を感じている様子を描いています。重要な場面でのミスは、深い反省を伴うため、この言葉が適しています。
忸怩たる思いの例文②
この例文は、友人との約束を守れなかったことで、深く反省している状況を表しています。
友人との大切な約束を忘れてしまい、彼に大きな迷惑をかけた。今さらながら、忸怩たる思いを感じている。
迷惑をかけた友人に、心から謝罪することが大切ね。
ここでは、友人に対しての不誠実さを反省し、後悔の気持ちでいっぱいになっていることが表現されています。信頼関係が絡む場面で、「忸怩たる思い」は適切です。
忸怩たる思いの例文③
この例文では、過去に道徳的な過ちを犯し、今になってその行動に対する深い後悔を感じている状況を示しています。
学生時代、いじめを見て見ぬふりをしてしまった自分を、今でも忸怩たる思いで振り返っているんだ。
大人になったからこそ、気づくこともあるわ。その気持を忘れないでね。
この場面では、過去の行動に対して深い反省があることを強調しています。道徳的な問題に対して、自らを責める際にこの言葉が使われることがよくあります。
「忸怩たる思い」の言い換え表現を例文を使ってわかりやすく解説
「忸怩たる思い」は、以下のような簡単な言葉に言い換えることができます。
【忸怩たる思いの言い換え表現】
・申し訳なく思う
・反省している
・後悔している
「申し訳なく思う」の例文
「申し訳なく思う」は、「忸怩たる思い」と同様に、自分が他人に迷惑をかけたと感じたときに使われます。しかし、日常生活でよく使う言葉であり、「忸怩たる思い」ほど強い後悔の意味は持っていません。軽い反省や謝罪の場面で使われることが多いです。
時間に遅れてしまい、コトハに迷惑をかけてしまった。本当に申し訳なく思っている。
しかたない、ゆるしてあげる!次回からは、遅れないように気をつけてね。
この例文では、相手に対して迷惑をかけたことを反省している場面です。「申し訳なく思う」は、「忸怩たる思い」よりも軽い後悔や反省の感情を表しています。
「反省している」の例文
「反省している」は、自分の行動が間違っていたことを認識し、改めようとする気持ちを表す言葉です。「忸怩たる思い」に比べると、自分の過ちを冷静に振り返る意味が強く、感情的な恥や後悔よりも、改善を意識した言葉です。
僕の会議での発言が誤解を招いてしまい、今は自分の言動を深く反省している。
発言する前によく考えないとダメよ。
ここでは、過ちを冷静に振り返り、どうすれば改善できるかを考えている状況です。「忸怩たる思い」が感情的な恥や後悔を表すのに対して、「反省している」は、自分の行動を見つめ直しているニュアンスがあります。
「後悔している」の例文
「後悔している」は、自分の行動や選択が間違っていたと感じたときに使う言葉です。「忸怩たる思い」よりも一般的に使われる表現で、強い感情ではあるものの、主に「過去の選択に対する残念な気持ち」を表します。
あの時もっと努力していれば結果が違ったかもしれないと、今になって後悔しているよ。
そうね。後になってから気づくことって多いわね。
この例文では、過去の自分の行動を振り返り、それに対して残念な気持ちを感じている様子です。「後悔している」は、「忸怩たる思い」に比べて感情的ではあるものの、主に選択ミスに対して感じる残念さを表しています。
「忸怩たる思い」の類義語
「忸怩たる思い」の類義語は以下の通りです。
【忸怩たる思いの類義語】
マイナビニュースより引用
- 慚愧に堪えない(ざんきにたえない):自分の行いや状況があまりにも恥ずかしく、心から反省し、深く恥じる気持ちを表す表現。
- 不徳の致すところ(ふとくのいたすところ):自分の不徳のため引き起こしたこと。失敗や不都合のあったとき、謝罪の意味で使う。
- 汗顔の至り(かんがんのいたり):非常に恥ずかしいことを意味する表現。「汗顔」は、恥じて顔に汗をかくという意味で、「至り」は物事の行き着く最高の状態を意味する。
「慚愧に堪えない」の例文
「慚愧に堪えない(ざんきにたえない)」とは、自分の過ちや恥ずかしい行為に対して、深い後悔や恥じらいを感じるという意味です。特に道徳的な過ちに対して、耐えられないほどの強い後悔を表します。「忸怩たる思い」と同様、深く反省する気持ちが強調されています。
自分の軽率な発言で皆に迷惑をかけたことが、今でも慚愧に堪えない。
発言する前によく考えることが大切ね。
この例文では、他人に迷惑をかけた自分の行動を深く恥じ、耐えられないほどの後悔を感じている状況です。「慚愧に堪えない」は、特に倫理的なミスに対して使われることが多く、後悔の気持ちを強く表現する場面に適しています。
「不徳の致すところ」の例文
「不徳の致すところ(ふとくのいたすところ)」とは、自分の能力や人間性が足りず、その結果として他人に迷惑をかけたり失敗したことを反省する表現です。自分の未熟さを認めつつ、迷惑をかけたことへの謝罪の気持ちが込められています。
このプロジェクトがうまくいかなかったのは、全て僕の不徳の致すところだ。
今回のことを反省して、今後は迷惑をかけないようにね。
ここでは、自分の責任で物事がうまく進まなかったことを深く反省し、謝罪している様子です。「不徳の致すところ」は、特に責任を感じた際に使われ、自分の無力さを謙虚に認める表現です。
「汗顔の至り」の例文
「汗顔の至り(かんがんのいたり)」とは、自分の失敗や恥ずかしい行動に対して、顔に汗がにじむほどの恥を感じることを意味します。非常に恥ずかしい思いを表現する言葉で、「忸怩たる思い」と同じく、強い後悔や恥じらいの感情を示しています。
先日のミーティングで、あまりにも準備不足だった自分に対して、汗顔の至りだ。
今後は恥をかかないように、しっかりと準備してね。
この例文では、準備不足で自分が恥ずかしい思いをしている状況を描いています。「汗顔の至り」は、他人の前で大きな失態を犯した際に使われることが多く、非常に強い恥を感じる場合に適した表現です。
「忸怩たる思い」の対義語
「忸怩たる思い」には明確な対義語はありませんが、反対の意味を持つ言葉として、以下の2つを挙げることができます。
「矜持」の例文
矜持(きょうじ)とは、自分の行動や存在に誇りを持つことを意味します。「忸怩たる思い」が自分の行いに恥じる感情を表すのに対し、逆に誇りを感じる時に使われます。自分が正しい行動を取ったと信じている場合に使われる言葉です。
Hさんは、自分の仕事に自信を持っていることがわかるね。
そうね。彼はどんな困難な状況でも、自分の仕事に対して矜持を持って取り組んでいるように見えるわ。
この例文では、自分の仕事に誇りを持ち、自信を持って行動している様子が描かれています。「矜持」は、自分の行いが正しいと確信している時に使われ、「忸怩たる思い」とは反対の感情を示しています。
「自負心」の例文
自負心(じふしん)とは、自分の能力や成績に対して自信を持っていることを意味します。「忸怩たる思い」が自分の行動に対する恥じらいを表すのに対し、自負心は自分の努力や成し遂げたことに対する誇りを持つ場面で使われます。
Bさんの研究発表、素晴らしかったね!
彼女は長年の研究成果に自負心を持ち、堂々と発表を行っていたわね。
ここでは、自分の研究に自信を持ち、その成果を誇りに思っている様子が描かれています。「自負心」は、努力の結果に満足し、他人に誇れる感情を表す時に使われ、「忸怩たる思い」とは対照的な感情です。
「忸怩たる思い」の英語表現
「忸怩たる思い」を英語で表現する際、完全に同じ意味の言葉はありませんが、似た感情を表すフレーズがいくつかあります。ここでは、2つの英語表現を紹介します。
【忸怩たる思いの英語】
・be ashamed of oneself:自分自身の行動に対して恥ずかしいと思う。
・be bashful:恥ずかしがりやの、恥ずかしがる、照れた。
「be ashamed of oneself」の例文
「be ashamed of oneself」は、自分の行動や言葉に対して深く恥じる気持ちを表す際に使われます。自分がしたことが正しくなかったと認め、そのことに対して反省する時に使います。「忸怩たる思い」の感情に近い表現です。
「忸怩たる思い」を英語で表現した例文を教えて!
"I was ashamed of myself for not keeping my promise to my friend."のように表現することができます。
日本語訳:友達との約束を守れなかったことに対して、自分が恥ずかしかった。
この例文では、自分の過ちに対して強い反省と恥じらいを感じている場面が描かれています。「be ashamed of oneself」は、特に自分の行動に対する深い後悔を表すため、「忸怩たる思い」と似た感情を表現する際に使われます。
「be bashful」の例文
「be bashful」は、一般的には「恥ずかしがる」「照れくさい」という意味で使われますが、ここでは自分の行動に対する軽い恥じらいを表す表現として紹介します。「忸怩たる思い」と比較すると、感情はやや軽めで、日常的な場面で使いやすい言葉です。
「忸怩たる思い」を英語で表現した例文をもう一つ教えて!
"She was bashful after realizing she had spoken out of turn during the meeting."のように表現することができます。
日本語訳:彼女は、会議中に場違いな発言をしたことに気づき、恥ずかしく感じた。
この例文では、軽いミスに対して恥ずかしい思いをしている様子が描かれています。「be bashful」は、強い後悔よりも照れくさい気持ちを表すため、「忸怩たる思い」よりも軽い感情の時に使われる表現です。