「面従腹背」とは、「表面では服従するように見せかけて、内心では反抗すること」という意味があります。
しかし、面従腹背の意味がわかったところで、その正しい使い方やシチュエーションを理解しておかないと、間違った解釈をしたまま恥ずかしい思いをするかもしれません。
そうならないように、この記事で面従腹背の意味に加えて、正しい使い方を例文も交えてわかりやすく解説しておりますので、最後まで読んでこれから活用できるようにしてくださいね!
課長からA案にすると指示されたけど、本当はB案にしたかったんだ、
面従腹背したのね。
「面従腹背」の意味とは?わかりやすく解説
「面従腹背」とは、めんじゅうふくはいと読み、表面では服従するように見せかけて、内心では反抗すること。という意味があります。
面従腹背の意味を辞書で調べると、このように解説されております。
【面従腹背の意味】
goo辞書より引用
- うわべだけ上の者に従うふりをしているが、内心では従わないこと。
「面従」は人の面前でだけ従うこと。
「腹」は心の中のこと。「背」は背くこと。
「面従腹背」の意味
「面従腹背(めんじゅうふくはい)」とは、表面では従っているように見せながら、内心では反対していることを意味します。つまり、見かけ上は従順にふるまっていても、心の中では反感を持っている状態を表します。例えば、上司や先生に対して表向きは「はい」と言いながらも、心の中では「そんなことはしたくない」と思っているような場面で使われます。
「面従腹背」の意味の概要
この言葉は、「面(おもて)」と「腹(はら)」という漢字が使われており、「面」は表面を、「腹」は心の中や内面を指します。「従」は従うこと、「背」は反することを表し、合わせて「表向きは従うが、内心では反対している」という意味になります。相手に対して本心を隠しながら行動する姿を象徴する言葉です。
「面従腹背」ってどんなことを意味するの?もう少し詳しく教えて!
面従腹背(めんじゅうふくはい)」とは、うわべだけ従っているふりをしているが、心の中では逆のことを考えているという意味の四字熟語です。
「面従腹背」の語源や由来
面従腹背の語源や由来は以下のとおりです。
【面従腹背の語源や由来】
Domaniより引用
- 「面従腹背」の語源は、古代中国の歴史書「書経」にある「面従後言(めんじゅうこうげん)」とされています。
- 「書経」には、中国の神話に登場する王の舜(しゅん)が、次の王となる禹(う)に、「汝面従して、退きて後言有ること無かれ」(表面で服従し、裏で陰口をいってはいけない)と伝えたという話があります。ここから、「面従後言」は「表向きは服従して、裏では陰口をたたく」という意味で使われるようになりました。
- この「面従後言」がいつしか、「表面的には従って腹の中でののしる」という意味の「面従腹誹(めんじゅうふくひ)」にかわりました。さらに明治時代に腹誹(ふくひ)が「ふくはい」と誤読され、誤った読み方につられて「腹背」の字となったという説が有力のようです。
「面従腹背」の語源や由来
面従腹背(めんじゅうふくはい)という言葉の語源は、古代中国の歴史書「書経(しょきょう)」に登場する「面従後言(めんじゅうこうげん)」から来ています。「書経」には、中国の神話に出てくる舜(しゅん)という王が、次の王となる禹(う)に「表面では従うように見えても、裏で悪口を言ってはいけない」という意味で「汝面従して、退きて後言有ること無かれ」と教えたという話が記されています。
この「面従後言」は、「表向きは服従しているが、裏では陰口を言う」という意味で使われるようになりました。その後、この言葉が「面従腹誹(めんじゅうふくひ)」という形に変わり、「表向きでは従順なふりをして、心の中では批判する」という意味で使われました。
そして、明治時代になると、「腹誹(ふくひ)」が「ふくはい」と誤って読まれるようになり、さらに「誹」の字が「背」に変わったことで、今の「面従腹背」という形になったとされています。このようにして、「面従腹背」は長い歴史の中で形を変えながら、現代でも使われるようになった言葉です。
「面従腹背」の使い方を例文でわかりやすく解説
それでは、「面従腹背」の正しい使い方を具体的にイメージできるようわかりやすい例文をご紹介します。
面従腹背ってどういう場面で使ったりするの?
「面従腹背」は、ビジネスや学校などの人間関係の中で、自分の意見を率直に言えないときに使われることが多いです。例えば、部下が上司の指示に従っているように見えても、内心では不満を抱いている場合や、親の意見に表向きは従いながらも、心の中では納得していない場合に使います。この言葉は、表と裏がある人間関係の微妙な様子を表現するときに便利です。
「面従腹背」という言葉は、以下のような場面で使われます。
- 上司や先生の指示に従うふりをしながら、内心では不満を持っているとき。
- 親の意見に表向きは賛成しながら、実際には違う考えを持っているとき。
- チームやグループの決定に従う姿勢を見せながら、裏で文句を言っているとき。
- 表面上は友好的に接しながら、内心では相手を嫌っている場合。
- 政治や組織内で、表向きには従いながらも裏で別の意見を持つとき。
「面従腹背」を使う際には、次の点に注意しましょう。
- ネガティブな意味を含むため、相手を非難するような場面で使うことが多いです。
- 正直さが求められる場面には不向きで、相手に誤解を与えることがあります。
- 相手との関係を悪化させるリスクがあるため、使う場面や相手をよく考えて使いましょう。
面従腹背の例文①
部下が上司の意見に従っているふりをしながら、内心では不満を感じている状況を表しています。
彼は上司の意見に面従腹背して、会議中は賛成するそぶりを見せたが、後で同僚に不満を漏らしていた。
上司の前では、なかなか本音が言えないものね。
この例文では、表向きは賛成しているように見せかけて、実際には心の中で不満を抱えている様子を表現しています。
面従腹背の例文②
親の意見に表面的には従いながら、実際には違う考えを持っている子どもを描いています。
彼女は親に面従腹背して、『分かった』と言いながら、自分のやり方で進めるつもりだった。
親にわかってもらうのが難しいことって多いものね。
この例文では、子どもが表向きは親の言うことを聞いているように見せながら、実は自分の考えを持っていることを示しています。
面従腹背の例文③
社員が会社の方針に表面上は従っているが、裏で別の考えを持っている状況を表現しています。
社員たちは会社の新しい方針に面従腹背し、表向きは賛成したが、実際には不満を抱えていた。
本当は不満に思っていても、従うしかない時って多いのよね。
この例文では、社員たちが表面的には会社の方針に同意しているふりをしているものの、内心では納得していない様子を表現しています。
「面従腹背」の言い換え表現を例文を使ってわかりやすく解説
「面従腹背」という言葉は、日常的に使われる簡単な言葉に言い換え表現することができます。ここでは、その言い換え表現を2つ紹介し、それぞれの意味や使い方について解説します。
【面従腹背の言い換え表現】
・うわべだけ従う
・心にもないことを言う
「うわべだけ従う」の例文
「うわべだけ従う」とは、表面的には相手に従っているように見せながら、内心では賛成していないという意味です。表向きの態度だけを合わせて、心の中では違う考えや反発を持っている状態を表します。
クラスで決まったルールに対して、表向きは「わかった」と従っているふりをしている生徒がいる状況です。
彼は先生の指導にうわべだけ従い、放課後には友達とそのルールについて不満を話していた。
先生を前に不満は言いづらいわね。
この例文では、彼が表面上はルールに従っているように見せかけて、実際にはその指導に納得していない様子を表現しています。「面従腹背」と似た意味ですが、より日常的で直接的な言い方です。
「心にもないことを言う」の例文
「心にもないことを言う」とは、実際にはそう思っていないのに、表向きには違うことを言っているという意味です。自分の本心を隠して、相手に合わせた発言をする場合に使われます。
職場で上司の意見に表面的には賛成しているが、実際には心の中で反対している状況です。
彼は上司の提案に心にもないことを言い、『いい考えですね』と笑顔で答えたが、実際には全く賛成していなかった。
心にもないことを言ってその場を取り繕うことって多いわね。
この例文では、彼が本心では上司の意見に反対しているにもかかわらず、あえて賛成しているような発言をしている様子を表しています。「面従腹背」は行動全体を指すのに対して、「心にもないことを言う」は主に発言に焦点を当てた表現です。
「面従腹背」の類義語
「面従腹背」には、似た意味を持つ言葉がいくつかあります。ここでは、その中から2つの類義語を紹介し、それぞれの意味と使い方について解説します。
【面従腹背の類義語】
goo辞書より引用
- 面従後言(めんじゅうこうげん):人の面前ではへつらって従うように見せかけておいて、陰では相手をあげつらうこと。
- 面従腹誹(めんじゅうふくはい):うわべだけ上の者に従うふりをしているが、内心では従わないこと。
「面従後言」の例文
面従後言(めんじゅうこうげん)とは、「表面では従うように見せかけて、後で陰で不満を言う」という意味です。相手の前では素直に従っているふりをして、後から陰で文句を言ったり、不満を漏らすような場面で使われます。
彼は上司に面従後言して、その場では『了解しました』と言ったが、後から同僚に不満を話していた。
上司の前では何も言わなかったけど、本当は不満だったのね。
この例文では、彼が上司の前では従順な態度をとりつつ、後でその意見に不満を抱いている様子を表現しています。「面従腹背」と似ていますが、「後で不満を言う」という点に焦点があることが特徴です。つまり、心の中で反発しているだけでなく、その気持ちを後から表に出すことを表しています。
「面従腹誹」の例文
面従腹誹(めんじゅうふくはい)とは、「表面では従うふりをして、内心ではその相手を非難する」という意味です。相手に従う態度を見せながら、心の中では不満や批判の気持ちを抱いていることを表現します。
彼女は部長に面従腹誹し、表向きは『納得しました』と言いながら、心の中ではその方針に不満を持っていた。
彼女、本当は納得してなかったのね。
この例文では、彼女が部長の前では従う姿勢を見せているものの、内心では部長のやり方に対して納得していないことが表されています。「面従腹背」と同様に、心の中で異なる感情を持っていることを表現していますが、「内心で批判する」という要素が強調されています。心の中だけで反発を抱えている状態を指す点で、「面従後言」とは少し異なります。
「面従腹背」の対義語
「面従腹背」には、明確な対義語はありませんが、反対の意味を持つ言葉として「絶対服従」と「眼横鼻直」があります。これらの言葉は、それぞれ異なる場面で「面従腹背」とは逆の姿勢を表す言葉です。
【面従腹背と反対の意味をもつ言葉】
weblio辞書より引用
- 絶対服従(ぜったいふくじゅう):逆らうことは少しも容認されず、何があろうとも君主や上の者の命令に従うさま。
- 眼横鼻直(がんのうびちょく):禅語で「あたり前の事実をありのままに見て、そのままである真実をうなずき取るという意味。
「絶対服従」の例文
絶対服従(ぜったいふくじゅう)とは、「指示や命令に対して一切の疑問や反発を持たずに、完全に従うこと」を意味します。自分の意見を出さず、相手の言うことをそのまま受け入れて従う態度を表します。
彼は上司に絶対服従して、どんなに厳しい指示でも文句を言わずに従っていた。
彼にとって上司は絶対的な存在なのね。
この例文では、彼が上司の指示に対して全く逆らわずに従っている様子を表しています。「面従腹背」が表面的には従っていても内心では反発しているのに対し、「絶対服従」は表も内心も完全に従順な態度を示しています。意見を持たず、ただ命令に従う姿勢を指す場面で使われます。
「眼横鼻直」の例文
眼横鼻直(がんのうびちょく)とは、「率直で遠慮のない態度」を意味します。自分の考えや意見を隠さずに、そのままストレートに表現する様子を表しています。相手に遠慮せず、自分の意見を正直に伝える態度を指します。
彼は上司に対して眼横鼻直な態度を取り、間違っていると感じたことはその場で指摘していた。
彼は自分の思ったとおりのことをそのまま出す人よね。
「この例文では、彼が上司に対して自分の意見を隠さずに率直に伝えている様子を表しています。「面従腹背」が表面と内心で異なる態度を取ることを示しているのに対し、「眼横鼻直」は思ったことをそのまま言う、裏表のない態度を意味します。正直に意見を言う場面や、遠慮せずに自分の考えを伝えたいときに使われます。
「面従腹背」の英語表現
「面従腹背」の英語表現を辞書で調べると以下の通りです。
【面従腹背の英語】
DMM英会話より引用
- Many kiss the hand they wish to cut off.:英語のことわざです。
そのまま訳せば、「切り落としてやりたい手にキスをする人は多い」という文ですが、うわべは丁寧に(礼儀正しく)接していても、別の本心(反感)を隠しているものだ。という意味です。
「Many kiss the hand they wish to cut off」の例文
「面従腹背」に近い意味を持つ英語表現として、「Many kiss the hand they wish to cut off.」という言葉があります。この表現は、表面では相手に従っているように見せかけているものの、内心では反発や敵意を抱いている様子を表しています。言葉通りに解釈すると、「切り落としたい手にキスをする人が多い」という意味で、表面的には敬意を払っているように見えても、内心ではそうではないという態度を示しています。
「面従腹背」を英語で表現した例文を教えて!
"He always praised his boss in meetings, but deep down, he disagreed with every decision. It’s like they say, 'Many kiss the hand they wish to cut off.'"のように表現することができます。
日本語訳:彼は会議ではいつも上司をほめていたが、心の中ではすべての決定に反対していた。まさに『切り落としたい手にキスをする人が多い』というようなものだ。
この例文では、彼が上司に対して表向きは褒めたり、従う態度を見せているものの、実際には内心で反対している様子を表現しています。「Many kiss the hand they wish to cut off.」という表現を使うことで、見かけと本音の違いを示しており、「面従腹背」の意味に近い状況を描いています。
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