「犬猿の仲」とは、「非常に仲の悪い間柄のたとえ」という意味があります。
しかし、犬猿の仲の意味がわかったところで、その正しい使い方やシチュエーションを理解しておかないと、間違った解釈をしたまま恥ずかしい思いをするかもしれません。
そうならないように、この記事で犬猿の仲の意味に加えて、正しい使い方を例文も交えてわかりやすく解説しておりますので、最後まで読んでこれから活用できるようにしてくださいね!
ZさんとHさんは、仲が悪いよね。
そう。2人は、犬猿の仲らしいわよ。
「犬猿の仲」の意味とは?わかりやすく解説
「犬猿の仲」とは、けんえんのなかと読み、非常に仲の悪い間柄のたとえ。という意味があります。
犬猿の仲の意味を辞書で調べると、このように解説されております。
【犬猿の仲の意味】
新明解故事ことわざ辞典より引用
- 非常に仲の悪い間柄のたとえ。
犬と猿は仲が悪いとされていることから。
「犬猿の仲」の意味
犬猿の仲(けんえんのなか)とは、非常に仲が悪く、互いに対立したり、争ったりする関係を表す言葉です。まるで犬と猿のように相手を嫌っていて、一緒にいるとすぐに喧嘩が始まるような状態を指します。これは、犬と猿が昔から仲が悪いとされていることからきた表現です。
「犬猿の仲」の意味の概要
「犬猿の仲」という表現は、友人や同僚など、普段は協力し合うべき関係が、何らかの理由で上手くいかずに敵対している状態を指すのによく使われます。この言葉は、日常生活だけでなく、ビジネスやスポーツの場面でもよく使われることがあります。
「犬猿の仲」ってどんなことを意味するの?もう少し詳しく教えて!
犬猿の仲とは、仲たがいが激しく、互いにいがみ合っているような関係のことを指します。犬と猿が仲が悪いというイメージから、このように呼ばれます。
「犬猿の仲」の語源や由来
犬猿の仲の語源や由来は以下のとおりです。
【犬猿の仲の語源や由来】
Oggiより引用
- 1:干支の順番争い:今では誰もが知っている十二支ですが、昔、十二支が神様への挨拶を巡って、動物たちが競い合いをしたそうです。
これにより多くの動物たちが神様の所を目指しました。犬と猿は、最初は仲良く神様の所を一緒に目指していたのですが、途中で喧嘩をしてしまいます。
その喧嘩の仲裁に入ったのが鳥だったのですが、喧嘩が収まらず、仲裁に入ったまま神様の所に着いたため「猿」「鳥」「犬」という、間に鳥が入る順番になりました。
これがきっかけとなり、犬と猿はお互い顔を見合わせれば、喧嘩するようになり、「犬猿の仲」の由来となった説になります。- 2:狩猟での犬と猿の出会い:昔は猟師が山へ猟をしに行く時、一緒に犬を連れて山へ入ることが当たり前でした。猟の最中に、山の中で猿に会うことはしょっちゅうのこと。
猿は縄張り意識が強いので、山の中に入ってきた犬に対して、激しく威嚇をします。
それを見た猟師が「犬と猿は仲が悪いのだ」と思ったことが、「犬猿の仲」の由来となったという説です。- 3:戦国時代の大親友の「犬」と「猿」:動物のエピソードではない説もあります。
豊臣秀吉と前田利家はご存じの方も多いはず。
豊臣秀吉のあだ名は「猿」で、前田利家の幼名は「犬千代」。2人はとても仲がよく、お互い「猿」「犬」と呼ぶ間柄だったそうです。2人は尾張出身で昔から「尾張の言葉はきつい」と言われています。
この2人が普通に会話をしていても、他国の人から見ると、2人がいつも大喧嘩をしているように見えたそう。「犬と猿はいつも喧嘩をしている」、それが「犬猿の仲である」と言われるようになったのが由来だという説です。
「犬猿の仲」の語源や由来
「犬猿の仲」の由来についてはいくつかの説があります。その中でも特に有名なものを紹介します。
1. 干支の順番争い
昔、動物たちが神様に挨拶をするため、誰が一番にたどり着くか競争をしたといわれています。この競争には十二支に選ばれる動物たちが参加していました。犬と猿は当初、仲良く一緒に進んでいましたが、途中で激しい喧嘩を始めてしまいます。喧嘩の仲裁に入ったのは鳥で、なんとか3匹は神様のところに到着しましたが、犬と猿の間には鳥が挟まれる形になりました。この順番が「猿・鳥・犬」となり、これがきっかけで犬と猿は顔を合わせるたびに争うようになったという説があります。
2. 狩猟中の犬と猿の対立
昔、猟師が狩猟をする際、犬を連れて山に入るのは一般的でした。その狩りの最中に、犬はしばしば猿に遭遇します。猿は自分の縄張りを守ろうと、山に入ってきた犬に対して威嚇し、激しく争うことがありました。猟師たちはこの様子を見て、「犬と猿は仲が悪い」という印象を持ち、これが「犬猿の仲」という言葉の由来になったという説もあります。
3. 戦国時代の「猿」と「犬」
もう一つの説は、戦国時代の人物に関連しています。豊臣秀吉は「猿」というあだ名で知られており、彼の親友である前田利家は「犬千代」という幼名を持っていました。二人は非常に仲が良かったのですが、尾張出身のため言葉遣いが荒く、外から見るとまるで喧嘩をしているかのように見えたそうです。このエピソードから「犬猿の仲」という表現が生まれたという説もあります。
これらの説はどれも「犬と猿は仲が悪い」というイメージを裏付けるものであり、今でも「犬猿の仲」という言葉は、非常に仲が悪い関係を指すときに使われます。
「犬猿の仲」の使い方を例文でわかりやすく解説
それでは、「犬猿の仲」の正しい使い方を具体的にイメージできるようわかりやすい例文をご紹介します。
犬猿の仲ってどういう場面で使ったりするの?
この言葉が使われる具体的な場面としては、友達同士が喧嘩しているときや、職場で同僚同士が常に意見が合わずに衝突している状況などが考えられます。例えば、長年ライバル関係にある企業やスポーツチームの対立にも「犬猿の仲」という表現がピッタリです。
「犬猿の仲」は、仲が悪い関係を強調する場面で使われます。具体的には以下のような場面で使用されます。
- 長い間対立している友達同士の関係。
- 職場で意見が合わない同僚同士の関係。
- ライバル関係にあるスポーツチームや選手の関係。
- 競争している企業同士の対立。
- 家族内で喧嘩が絶えない兄弟や親子の関係。
「犬猿の仲」を使う際の注意点として、以下の点に気をつけましょう。
- 強い対立や争いを表すため、軽い喧嘩には使わないこと。
- 仲の悪さを強調する言葉なので、冗談や軽い場面では使わないこと。
- 相手を悪く言いたい場面では避け、あくまで関係性を客観的に表すときに使用すること。
犬猿の仲の例文①
この例文では、長い間意見が合わず、常に対立している職場の同僚同士の関係を説明しています。ビジネスの場面では「犬猿の仲」という表現がよく使われます。
田中さんと山田さんは、いつも意見がまったく合わないね。
二人は、犬猿の仲ね。
ここでは、同僚同士が仕事上で常に対立している様子を表現しています。「犬猿の仲」を使うことで、2人の関係がかなり悪いことが伝わります。
犬猿の仲の例文②
この例文は、ライバル関係にあるスポーツチームを説明しています。ライバル関係が強い場合に、「犬猿の仲」を使うことで、その対立の激しさが強調されます。
今夜は、サッカーチーム、AとWの因縁の試合があるね。どちらのサポーターも応援に力が入るね。
この2つのサッカーチームは、何年もライバル関係にあり、犬猿の仲として知られているから勝敗の行方が気になるわね。
ここでは、ライバル同士のチームが長年争いを続けている状況を表しています。スポーツにおける強いライバル関係を表す場面に「犬猿の仲」を使うと、対立が深刻であることが分かりやすく伝わります。
犬猿の仲の例文③
この例文では、家庭内で兄弟が絶えず喧嘩している状況を表現しています。家族内の対立でも「犬猿の仲」が使われます。
兄と弟は、子供の頃から犬猿の仲で、顔を合わせるたびに口論になるんで困っているんだ。
そう。それは大変ね。
兄弟間の絶えない争いを表現しています。「犬猿の仲」を使うことで、兄弟が非常に仲が悪く、すぐに喧嘩になることを強調しています。
「犬猿の仲」の言い換え表現を例文を使ってわかりやすく解説
「犬猿の仲」という言葉は、二人の関係が非常に悪いことを強調する言葉ですが、以下のような簡単な言葉に言い換えて表現することもできます。
【犬猿の仲の言い換え表現】
・折り合いが悪い
・仲が悪い
「折り合いが悪い」の例文
「折り合いが悪い」という表現は、主に人と人との関係がうまくいかない、または意見や性格が合わずにうまく調整できない状態を指します。「犬猿の仲」と似た状況で使えますが、「犬猿の仲」が非常に強い対立を意味するのに対して、「折り合いが悪い」は、もう少し穏やかな対立や不一致を示す場合に使われます。
田中さんと佐藤さんの関係は微妙だね。
そうね。田中さんと佐藤さんは、性格が違いすぎて、仕事の上でもいつも折り合いが悪いみたい。
この例文では、職場で意見ややり方が合わない同僚同士の関係を表現しています。「犬猿の仲」はもっと深刻な対立を意味しますが、「折り合いが悪い」はそこまで強い衝突ではなく、意見や性格が合わないという程度の状況で使われます。
「仲が悪い」の例文
「仲が悪い」という言葉は、非常にシンプルで日常的に使われる表現です。これは、「犬猿の仲」と同じく、仲が悪いことを表しますが、「犬猿の仲」ほど強く険悪な関係を指すわけではなく、軽い対立や不和にも使えます。幅広く使えるため、日常会話でもよく耳にします。
KさんとMさんって、別れちゃったのかな?
2人はつきあっていたけど、何度も喧嘩をしていて、今ではすっかり仲が悪くなってしまったらしいわ。
この例文では、喧嘩が続いているカップルの関係を表しています。「犬猿の仲」と言い換えると、もっと深刻で永続的な対立を意味しますが、「仲が悪い」はその関係が一時的な不和である場合や、そこまで深刻でない場合にも使える柔軟な表現です。
「犬猿の仲」の類義語
「犬猿の仲」の類義語を辞書で調べると以下の通りです。
【犬猿の仲の類義語】
weblio辞書より引用
- 不倶戴天(ふぐたいてん):恨みや憎しみの異常なほどにはなはだしいこと、最悪の間柄を意味する。
- 水と油(みずとあぶら):水と油が混ざり合わないように、二人の関係が全く合わないこと。性格や価値観が全く異なるため、一緒にいることができない状態。
「不倶戴天」の例文
不倶戴天(ふぐたいてん)は、文字通り「同じ天の下では生きられない」という意味で、非常に強い憎しみや恨みを持つ関係を表します。この言葉は、相手を絶対に許せないほどの深い対立や、復讐心を持っている状況に使われます。「犬猿の仲」よりもさらに強い感情を表現する言葉です。
EさんとDさんの仲は最悪らしいね。
Eさんは、Dさんの裏切りを決して許さず、不倶戴天の敵として憎み続けているって噂よ。
この例文では、裏切りによって深い恨みを持つ相手に対して、決して和解しないという強い感情を表現しています。日常生活ではあまり使われない表現ですが、歴史や文学などで、相手を激しく憎む状況に用いられることが多いです。「犬猿の仲」よりも、もっと深刻な敵対関係に使われます。
「水と油」の例文
水と油(みずとあぶら)という表現は、性格や意見が全く合わない2人を指します。水と油が混ざらないように、どんなに一緒にしても絶対に調和できない関係を表します。「犬猿の仲」と似ていますが、必ずしも喧嘩しているわけではなく、単に相性が悪く一緒にいるのが難しいというニュアンスがあります。
今回、BさんとCさん、一緒にチームで仕事をするみたいだよ。
えー!それは大変よ。BさんとCさんは、性格が正反対で、まるで水と油のように一緒に仕事ができないんだから。
この例文では、性格が合わず、協力して仕事ができない同僚の関係を説明しています。「犬猿の仲」はもっと直接的に対立している場合に使いますが、「水と油」は、単にお互いが調和できない、相性が悪い状況にも適しています。喧嘩をしているわけではないが、うまくいかないという場面にピッタリの表現です。
「犬猿の仲」の対義語
「犬猿の仲」は、仲が悪いことを表す言葉ですが、反対の意味を持つ言葉として、「水魚之交」や「刎頸之交」といった言葉が挙げられます。
【犬猿の仲の対義語】
スッキリより引用
- 水魚之交(すいぎょのまじわり):離れることができない、親密な間柄や交際のたとえ。水と魚のように切っても切れない親しい関係をいう。
- 刎頸之交(ふんけいのまじわり):首を切られても悔いないほど、固い友情で結ばれた交際。心を許し合った非常に親密な交際。
「水魚之交」の例文
水魚之交(すいぎょのまじわり)は、水と魚のように切っても切れない関係、つまり非常に仲が良く、深い信頼で結ばれた友情や協力関係を表します。水がなければ魚は生きられないように、互いに必要不可欠な存在を示す言葉です。この言葉は、友人やパートナー同士が強い絆で結ばれている関係を説明するときに使います。
HさんとYさんは、いい関係だね。
彼らは子供の頃から一緒に育ち、まるで水魚之交のように固い友情で結ばれているそうよ。
この例文では、幼少期からの深い友情を持つ2人の関係を描写しています。彼らは互いに信頼し合い、欠かせない存在となっています。「犬猿の仲」が非常に仲が悪い関係を表すのに対し、「水魚之交」はその逆で、切り離せない深い友情を意味します
「刎頸之交」の例文
刎頸之交(ふんけいのまじわり)は、命をかけてお互いを守り合うほどの深い友情を表す言葉です。この表現は、どんな困難な状況でも互いに信頼し、支え合う関係を指します。特に、困難な時期を共に乗り越える友人やパートナーに使われることが多いです。
VさんとKさんは公私ともに仲がいいそうだよ。
彼らは同期入社で、どんなに厳しい状況でも助け合い、刎頸之交のような強い絆を築いてきたそうよ。
この例文では、困難な状況でもお互いを支え合う友情を説明しています。「刎頸之交」は、非常に深い信頼関係や友情を表現し、「犬猿の仲」とは真逆の意味を持ちます。互いに命をかける覚悟を持つほどの絆を強調する表現です。
「犬猿の仲」の英語表現
「犬猿の仲」の英語表現を辞書で調べると以下の通りです。
【犬猿の仲の英語】
weblio辞書より引用
- fight like cats and dogs
「fight like cats and dogs」の例文
「犬猿の仲」に近い英語表現として「fight like cats and dogs」があります。この表現は、犬と猫のように絶えず喧嘩をしている、またはとても仲が悪い関係を表します。「犬猿の仲」と同様、強い対立や争いを表現する際に使われます。特に、友人同士や家族、同僚など、普段は協力すべき相手が常に意見が合わず喧嘩している状況にピッタリです。
「犬猿の仲」を英語で表現した例文を教えて!
"They always fight like cats and dogs, even over the smallest things."のように表現することができます。
日本語訳:彼らはどんな小さなことでも、いつも犬猿の仲のように喧嘩している。
この例文では、些細なことでも常に喧嘩をしている人たちの関係を表現しています。「fight like cats and dogs」というフレーズを使うことで、2人がまるで犬と猫のように衝突し合っていることが強調されています。この表現は、日常的に使いやすく、「犬猿の仲」と同じように、激しく対立している様子を描写するのに適しています。
コメント